35歳ニートの正社員就職体験談

私は、35歳にして初めての正社員就職を決めた。就職先も、私の体力・スキルに見合った抜群の条件だった。
今回35歳ニートの私が、就職を決意してから正社員になるまでの詳細な体験を語っていきたい。正社員を目指す全てのニート、特に就職が絶望的と言われる30代ニートの励みになることを祈って。
目次
35歳ニートが就職しようと思った理由
35歳を過ぎた私。昨年9月に1年足らずでバイトをやめ、晴れてニート生活に逆戻りして実家でぬくぬくと過ごしていた矢先だった。
家はそんなにお金に余裕があるわけじゃないんだから。せめてアルバイトでいいから働いてもらわないと困る
母親
バイトをやめてニートになるたびに言われるセリフだ。まあいつもはまた働きたくなるまでやり過ごしていたのだが、今回ばかりはもういい加減「自立しよう」と思った。
この先、親から「ちっとも働かない」と言われたり、バイト求人誌見せられ「この仕事に応募したら」などと言われ続けるのが鬱陶しくなったのだ。
そんなわけで突如正社員を目指すことになったわけだが・・・
そもそもバイトすら続かないのにフルタイムの正社員なんかどれくらい持つのか?
私
とてつもなく不安になったのだが、
まあ、仕方がない。合わなかったらすぐやめて、また一からやり直せばいいだけだ!入っては辞めを繰り返していれば、どこかで自分に合う職場に出会えると信じよう!
私
と開き直ることができた。
考えてみれば、学校卒業して10年以上も実家に寄生できたことが奇跡のようなもの。とうの昔にたたき出されていてもおかしくなかった。
その間、バイトを転々としたり、アフィリエイトで一儲けしてやろうと思って失敗したり、WEBライターになろうとしたが才能がなく撃沈。まあこれも私らしい人生といえばそれまでか。
というわけで、いよいよ正社員を目指す戦いに火ぶたが落とされたのである。
一生ニートは無理!
そもそも35歳ニート職歴なしが就職できるのか?
そもそも私は、生まれてから一度たりとも正社員経験のない完全ホワイトだ。
いや、バイトでさえ短期間で辞めるを繰り返す職歴を考えれば、(採用主から見れば)ホワイト以下のブラックに映るかもわからない。
そんなひどい経歴の持ち主である私が、普通に就活したってうまくいくはずもないことは容易に想像ついた。
そこで頼ったのは転職エージェントである。
転職エージェントは、求職者に一人のコンサルタントが付き、就職するまで二人三脚でサポートしてくれるサービス。そこで紹介された求人は、ハローワークなど自分で応募したものより、断然選考が通過しやすいことが知られる。
一般的に、転職エージェントは新卒・第二新卒や正社員経験豊富なキャリア、既卒でも20代を対象にしていることがほとんど。ましてや、35歳・職歴なし・ニートという立場では、紹介どころか登録すら拒否されるのが世の常だ。
しかし、ニート歓迎転職エージェント・DYM就職は違った。
面談中に2社の求人を紹介してもらえたのだ。「本当に紹介してもらえるのか?」という不安が完全に吹き飛んだ。
おまけに書類選考もなし!
これガチで行けんじゃねぇ?って思ったね。
私
私のようなニートが普通に受験すれば、書類選考の時点で全滅だろう。それが、いきなり面接から始められるわけだ。ということは内定確率がグーンと上がり、チャンス到来!
紹介された求人は、あまりいい条件ではなかったが、
ニートが贅沢を言っている場合ではない!正社員として採用してくれるのだから、ある程度は妥協するしかない。
私
このときの私は、こう考えていた。
転職エージェントが近道!
35歳ニートが面接に挑戦!面接1社目
紹介を受けた数日後、早速紹介を受けた企業の面接に臨んだ。コロナ禍のため、Zoomを使ってPC画面越しに顔を突き合わせての面接だった。面接時間は1時間弱。少し長いくらいか。
当日は特にこれといった準備もしなかったが、言葉に詰まることもなくスラスラ答えられた。というのも、聞かれたことは本人確認・緊急連絡先・制服のサイズ・健康状態・退職理由・志望動機くらいだから。
正社員採用でありながら、普通のバイト面接と変わりなかった。
前職の退職理由は絶対聞かれる!
え!? まさかの内定?しかし...
面接を受けた翌日。お昼寝をしていたところ、突然スマホの着信音が鳴り響いた。「何だようるさいな!」と思いながら電話を取ると、
株式会社○○の○○と申します。昨日は面接を受けていただき、どうもありがとうございました。
採用担当者
え!?
これってまさかの、
な〇てい?
と思った矢先、
健康状態や緊急連絡先、仕事の経験といった前日と同じことを聞かれた。
ぶっちゃけ、「同じこと聞くなよ!」とイラついたね。
私
しかも、
もし、勤務することになったら...
採用担当者
なんて言葉を繰り返すもんだから、
「なんだ、まだ選考中かぁ~」とがっかりしながら、選考結果がいつ出るか聞いてみた。
すると...
もしよろしければ、このまま○○日勤務スタートということで準備を進めさせていこうと思うのですが・・・
採用担当者
やったー!本当に内定だ!
私
と内心は喜んだのものの、条件的にすぐに受けいれるのは難しかったので、じっくり考え3日以内に連絡する旨を伝えて終わりにした。
35歳ニート、人生初の正社員内定
まじめに悩んだ結果・・・
35歳にして就職活動を始めた私。早速転職エージェントに登録。最初の面接にしていきなり内定!
ただ、仕事内容があまりにも過酷なものだった。
- 熱所作業
- 腰痛める可能性大
- スピードが求められる
- 夜勤
- 休日出勤
たとえ入社しても、すぐにドロップアウトするのは目に見えていた。
私には無理だと判断し、 辞退の連絡を入れた。
就職活動はやり直し。ただ、新卒就活ではまさかの内定ゼロだったことを考えれば、こうして正社員で内定をいただけたこと、35歳ニートでも就職できることを実感できたのは大きな自信になった。
嫌な予感がしたら躊躇なく辞退しろ!
ふりだし:ニートでもわがままが通るんだ!
次に登録した転職エージェントは、ハタラクティブ。こちらも先のDYMと並び、ニート向け転職エージェントとして有名どころだ。
ハタラクティブは、紹介先企業をしっかり取材し、求職者の性格・能力に見合った職場を紹介してくれることが自慢だ。なので、利用者からの満足度も高い。
今度は、いくら内定が欲しいからといって、「どこでもいいというのはやめよう」ということで、勤務時間・仕事内容等、絶対に譲れない条件を付けてお願いした。
- 夜勤無理!
- 体力的にきついのは嫌!
- 上司に怒鳴りつけられるのは嫌!
ぶっちゃけ、もう紹介してもらえないことも覚悟したよね。
ただでさえ救いようがないくらい汚れたキャリアを歩んできているというのに、挙句に自分勝手な注文をつけちゃうのだからね。そんな神企業が私のようなブラックニートなんかお呼びじゃないって(笑)
私
ところが・・・・
10分ほどしてLINEをのぞき込むと、続々と求人がアップされているではないか!
私のような絶望的なキャリアの高齢ニートでも、こんなにもいい案件を紹介してもらえるんだ!とほくそ笑んだね(笑)
私
紹介先企業へ応募手続きしてもらい、書類選考(適性検査含む)を通過した2社の面接を受けることになった。
遠慮はいらない!
面接1社目(以下A社)
この会社は電話面接だったので、対面よりも緊張感が和らいだ。
聞かれたこと・答えたこと
ーー 志望動機
Q、工場での経験がないのになぜ当社を志望したのか?
小さいころからモノづくりが好きで夢中になって取り組んでいました。最近それを思い出し、好きなことを仕事にしたいと思い御社を志願いたしました。
私
ーー 意欲
Q、〇月〇日入社は可能か?
大丈夫です!
私
(ついでに「社員寮への引っ越しはその2日前までに済ませてほしい」みたいなことを言われたので、「大丈夫です」と返答。)
Q、転勤は可能か?
もちろんです!
私
ーー 職歴に関して
Q、○○(バイト)を退職した理由は?
○○はアフィリエイトに専念するため、○○は体調を崩したから
私
Q、職歴のブランク(空白期間)は何をしていたか?
アフィリエイトをしてました。
私
ーー 資格
Q、運転免許は持っているか?
持っているけどペーパードライバーです。
私
Q、工場に関連した資格はあるか?
ないです。
私
ーー 長所と短所
Q、長所と短所をひとつずつ
長所はやさしいこと。
短所はマルチタスクが苦手なことです。
私
さらに短所のところで、「ひとつのことをじっくりやる作業は得意か?」と聞かれ「得意です」と答えたら、「うちの工場に向いている」と褒められた。ここで少し会話が弾んだ。
ーー その他
・健康状態
・服のサイズ
・ひとり暮らしの経験
・引っ越し時の荷物量
なんと面接中に結果を伝えられる
質問や仕事の説明等、必要ななやりとりが一通り済み「終わった」と思ったら、なんとその場で内定を告げられた。
もしよろしければ、ぜひうちで働いていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか?
面接官
実は翌日、もう一つの企業の面接が控えていた。もしここで受けてしまえば、その企業は自動的に辞退となってしまう。
2つ受けてみて比較検討したいと思っていた私は、言葉に詰まりながら絞り出すようにこう切り返した。
大変申し訳ございません。
実は翌日に他社の面接があるので、そこを受けてから考えたいのですが?
私
これで落ちてしまったら元も子もないが、私の思いが通じたのか面接官は受け入れてくれた。
わかりました。では翌日の○○時までに教えてほしいのですが・・・
面接官
というわけで、なんとか事なきを得た。
面接2社目(以下B社)
LINEのビデオ電話を使って面接。製造業にしては珍しく若い女性の面接官だった。
ちなみにここは、勤務地がまだ決まっておらず、面接の様子を見て可能であれば紹介を受けるスタイルだ。
質問されたことはA社と被るが、質問事項は少ない。
・志望動機
・退職理由・ブランク
・入社時期
・服のサイズ
・健康状態
・勤務条件の希望
・運転免許の有無
・資格の確認
ちなみに、希望条件として日勤オンリーの現場を希望。2つの案件を紹介してもらえた。
聞かれることは決まっている!
35歳ニート、正社員になる
結果、面接を受けた2社全てで内定。1社目のDYM就職と合わせると、3戦3勝である。
しかも正社員!
ぶっちゃけ、驚いた。正社員ってこんな簡単になれるのか!ってね。
私
はたして私が選んだのは、ハタラクティブから紹介を受けたA社だった。
B社は2人一組での作業するらしく、人間関係とコミュニケーションスキルが必要と書いてあり、コミュ障の私には敷居が高く感じた。
一方、A社は細かい作業を必要とするが、基本的に一人黙々とやる仕事で、作業もゆっくり丁寧にやればよいということで、テキパキやるのが苦手な私にも安心だ。さらに残業も月平均15時間と少ないので、体力的にも負担にならない。
そんなわけで、35歳にして初の正社員就職があっけなく決まったのである。
35歳ニート、涙のフィナーレ!
35歳ニートでも正社員になれた理由
ここで、35歳ニート&社員経験なしという最悪の状況から、なぜ正社員になれたのか考察してみよう。あくまで私の勝手な推論だが、以下の理由が考えられる。
- ニート特化の転職エージェント
- 製造業
- 派遣
順番に説明していこう。
転職エージェントの利用
まず、転職エージェントのおかげなのは言うまでもない。そして最も重要なのは、ニート・フリーターといった正社員未経験に特化していたことだ。
正社員や正社員経験者との競争がなく、ニートでもすんなり受け入れてもらえる企業に絞って応募できたのが何よりの勝因と言える。
製造業
2点目は、製造業であったこと。なぜかというと、
理由の一つ目は、仕事が簡単であること。基本的にやることは毎回同じなので、覚えるのも楽だし特別な才能が必要なわけでもない。
2つ目は、人手不足。製造業は大量に人手が必要で、現状足りていない企業が多い。経験者ばかりではまかないきれないし、他職種で正社員経験のある人は、より待遇の良いところに受かるので製造業には見向きもしないだろう。必然的にニート・フリーターに頼らざるを得なくなるのだ。
正社員就職したいニートは製造業が穴場であることを覚えておこう。
派遣
今回私が内定をもらった企業の大きな特徴は派遣だ。ただし、派遣と言っても契約は 正社員である。
図のように、正社員として雇われるのは派遣元企業。派遣元企業と取引を結ぶ工場(派遣先)に出向して働くというシステムだ。
通常の派遣社員と違う点は、派遣元企業との雇用形態にある。派遣社員は非正規契約で契約期間が終了すれば切られるリスクがある一方、正社員は安定雇用だ。
もし派遣先工場との契約が終了しても、また別の工場に派遣してもらえる。昇進すれば、管理する仕事を任してもらえる可能性もある。
つまり、普通の正社員と同じと考えてよい。
しかし、例え正社員といえども「派遣」となるとイメージが悪く(就業前に出向先企業を一度も見学できないのもネックになるかもしれない)、敬遠されがちだ。強いライバルが狙わないので、ニートにもチャンスが出る。
製造・派遣が狙い目!
30代後半ニートでも就職できる!
この物語もいよいよ締めくくるときがきた。
今、私は35歳にして初めて正社員を勝ち取ることができた。それも社会経験が一切なしでだ。しかし、それは決して奇跡なんかではなかった。
- 転職エージェントの活用
- 低競争率の求人へ応募
この時点で「勝利」は約束されていたといってもいいだろう。
ニート、特に30代半ばを過ぎているなら、絶対に転職エージェントを活用してほしい。
今これを読んでいるあなたも絶対に就職できるはずだ!
- 職歴なし
- バイトすら続かず
- ブランクだらけ
こんなわたしにすらできたのだから。